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【ネタバレあり】まるで人類の祝宴!?極上の偽物を体感する110分。グレイテストショーマン感想。【The Greatest showman】

好きなミュージカル映画はサウンドオブミュージック。
どうもこんにちは。れんれん@Rnmtsuです。
さて、近頃なにかと耳にします(2018年4月)「グレイテストショーマン」。
ララランドのスタッフが新しく作った新作!良かった!」と、知人が声を荒げて絶賛するので見てきました。


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あらすじ

[Wikipediaから引用]

小さいころから貧しくも夢想家のバーナムは、良家の令嬢チャリティと結婚。ニューヨークでつましい暮らしを始めて娘たちも生まれるが、バーナムは仕事が長続きせず、貿易会社に就職しても、会社の貿易船が沈没してしまい倒産、社員全員が解雇される。しかし彼は沈没した船の登録証を持ち出し、それを担保に銀行から資金を借り、世界中のあらゆる奇妙なものを展示した「バーナム博物館」をオープンさせる。だが客足はかんばしくなかった。

そんなとき、彼は娘のある一言をきっかけにショービジネスの道へと進む。小人症の男、大男、髭の濃い女、全身刺青の男、結合双生児の兄弟など、世間から隠れるようにして生きていた様々な人を集め、いわゆるフリーク・ショーのサーカスを始めたのだ。彼らのショーは大盛況になるが、批評家には酷評され、市民の中には「街の恥さらし」と激しい抗議活動をする者も現れた。バーナム一家も裕福にはなったものの、上流社会からは単なる成り上がりの怪しいペテン師親子という扱いしかされなかった。

バーナムは劇作家のフィリップ・カーライルと出会い、彼をショーの演出家にスカウトする。バーナムの熱烈な勧誘を受けたフィリップは取り分10%で承諾する。劇場を訪れた彼は、有色人種の団員・アンを見初めてしまう。

フィリップのコネにより、ショーの仲間を連れてヴィクトリア女王に拝謁することができたバーナムは、欧州随一のオペラ歌手とほまれ高いジェニー・リンドと出会う。彼女のアメリカ公演を成功させれば、遂に上流社会の仲間入りができ、娘たちも馬鹿にされなくなると考えたバーナムは、フィリップに劇場運営を任せ、自らはジェニーの公演に全てを注ごうと決めた。

ジェニーの歌声は素晴らしく、初演は大成功を収めて批評家にも絶賛される。バーナムの名声にも箔がついたが、そのせいでバーナムは劇場のキャスト達を疎んじるようになった。劇場以外に拠り所がない彼らは必死にショーを続けるが、バーナム不在の劇場は人気が落ちていく。

フィリップはアンをデートに誘うが、たまたま出会ったフィリップの両親はアンを侮辱し、彼女は逃げ去ってしまう。追いかけたフィリップは身分の差など関係ないと説得するが、アンは不可能だと彼を拒絶する。

一方、バーナムは多大な借金を重ねてジェニーの全米公演ツアーを敢行し、当初は大好評を博するが、その道中でジェニーから寄せられる好意以上の誘惑にバーナムは良心の呵責を感じ、二人は決裂。途中でツアーは打ち切りになってしまう。ジェニーは最後の公演終了時に、バーナムに当てつけのように「お別れのキス」をし、新聞の一面をスキャンダルで飾る。

フィリップに任せていた劇場だったが、反対派との争いから放火され全焼してしまう。フィリップはアンを救出しようとして燃える劇場に飛び込み、バーナムによって救出されたものの意識不明で病院に運ばれた。さらにジェニーのツアー中止による負債でバーナムの邸宅は差し押さえられてしまい、チャリティは自分勝手なバーナムに愛想を尽かし、娘たちを連れて実家に帰ってしまった。

全てを失ったバーナムが独りパブで酒を飲んでいたところ、サーカスの団員たちが現れ、彼にサーカスを再建するよう説得する。バーナムは、自分が何のために名声や成功を追い求めていたのかを思い出し、サーカスがいまや自分と団員たちにとって家族であり居場所となっていたことに気づかされたのだった。

重症のフィリップも、アンに見守られてようやく回復した。バーナムは去った妻を追いかけ、関係を修復する。サーカスの財政的困難も、フィリップが彼の貯金を使って再建することを提案、野外のテントサーカスとして新しく蘇った。再開したサーカスは大きな成功を収め、フィリップとアンは結ばれる。バーナムはフィリップにショーマンの座を譲り、妻に寄り添われながら、家族との時を慈しむのだった。

圧巻の映像と、展開の読めるストーリー。

興行師として実在したP.T.バーナムさんをモデルにした今作、
圧巻のミュージカル映像とは裏腹に、ありきたりで展開の読めるプロットと人間描写が薄すぎるため、なかなか賛否両論が別れているようですね。
確かに予告編を観ると主人公のバーナムが紆余曲折を経て成功する、ストーリー性のある作品なのかな?と思うかもしれませんね。



ストーリー導入部でも、ああ、幼馴染との恋が苦難を経て実っていくのかな?と思った矢先にいつの間にか結婚してました。
しかも子供もできてますし。その間、ほんの数分の出来事。

他にも、
オペラ歌手のリンダとの、ちょっと危ない関係。
相棒フィリップと劇団スターのアンの人種を超えた恋愛劇。
バーナムとサーカススタッフの絆。
などなど、登場人物の心理描写は細かいところ全部すっ飛ばしてるため感情移入は難しいかな…。
まあ、そういった部分を削ぎ落とすことで鑑賞後の高揚感や、ミュージカルとしてフィクション性を高めたいのかなあ。
でも確かにそうなんですよね。繰り返しますが、音楽と映像は至高です。
そういう意味では、どの部分から観ても楽しめるのかと思います。
金太郎飴なのでもはや記号的ですよね。


バーナムの人を巻き込む力に魅了される。

ヒュー・ジャックマンが演じる主人公バーナム。
やたらと人を口説くのが上手いです。
娘の一言をアドバイスに「ユニークな人々」を集めるシーンでは、"奇形"なことをコンプレックスに心を閉じているサーカススタッフ候補を懐柔したり、
後に相棒となる劇作家のフィリップや、欧州随一のオペラ歌手リンダをはじめ、いままで自分がコンプレックスだった(少なくとも義父に対して)上流階級の人々までもを口説き落とす様は、まさに痛快そのものです。

個人的なベストはフィリップを口説くために始まる、酒場での掛け合い。
お約束のミュージカル形式も然ることながら、男性ならば野心感の滲みでる歌詞と、高揚感のある力強いリズムで思わず身体がムズムズとしてくるのではないでしょうか?


エンタメ要素からも滲み出る、アメリカンなテーマ。

プロットがありきたりだの、展開が早すぎるからストーリー性が薄いだのディスられてますが意外とテーマはあるんですよ。
ダイバーシティ(多様性)なんて、言うとちょっと手垢ついてチープに聞こえてしまいますが、今作では主人公がバーナムが貧しい仕立て屋出身、被差別者を率いてアイデアありきのショーをはじめる。といった流れから「本物と偽物」、「普通と特別」あたりのコントラストがテーマとして映し出されています。


バーナム自身が生まれをずっとコンプレックスに持っていたため起こる展開がいい例です。
裕福になっても、成り上がりでは元々上流の人達からは蔑まれてしまうんですね。
そして彼はその上の人達に認めてもらおうとリンダとのお上品なショーを企画する訳なんですが、その過程でもともと「こちら側」だったことを忘れ、異形なサーカススタッフを疎んでしまう。
傷つくスタッフ達ですが自分達の居場所、輝けるところはサーカスのみ。
どんなに雇い主の心が離れてしまっても、ショーを演じ続けるしかないのです。
そんな彼らの何処にも向けられない怒りと悲しみ、そして少しばかりゆらぎ掛けた光を名曲「This is Me」に載せたミュージカルシーンは是非とも観てほしいです。


作中、皆それぞれ姿形がちがうのにも関わらず、観客ふくめ最後には全員が笑っている光景を指して「人類の祝宴」と例えた言葉がでてきます。
自由で開放主義を感じるメッセージと、バーナムの成り上がりストーリーから今作は非常にアメリカン映画的といえますね。


まとめ 「最も崇高な芸術は人を幸せにすること」

てな訳で、ぐだぐだと感想文を書いてみましたThe Greatest showman。
この記事で何度目になるのか分かりませんが、映像と音楽は最高です。
こんなこと起こるわけないだろ!的なご都合主義も相まって、極上の偽物を体感できるのではないかなあ。
深く考えるような箇所も多くないし、気分転換したいときや、デートなんかで使えるのかと思います。

そして親切なことに、最後のゾウにまたがり家族の元へ向かう様は、まるで監督が偽物の世界はもうじき終わるよ。と目覚めの一言を添えてくれているようでした。笑
思わず、ありえない!なんて笑いそうになりましたが、ツッコミはナンセンスかと…。

ラストは「最も崇高な芸術は人を幸せにすること」と、P.T.バーナムの言葉で物語は幕を閉じます。
本物や偽物なんて関係ないなんて、まさに瞬間的な文脈です。


いま思い返してみると、記号的なコンテンツとダイバーシティ的なメッセージ性を省みるに、すごく現代的な映画でした。
いやあ良かった。劇場で鑑賞するのがオススメです。
しっかし、ルックスも良く演技も出来て、おまけに歌も上手なんて神様はほんと不平等ですよねえ…。