僕トク的なアレ

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モラトリアムの追体験。朝井リョウ氏「何者」

モラトリアムの追体験

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あなたには、なりたかった「夢」はあるだろうか。
もしくはいま現在、それに向かって努力している最中かもしれない。

かくかくしかじか、この現実というゲーム世界では
人々に対し「何者」であるか?などと問いがちだ。

僕もその抽象的なクエスチョンに悩まされている最中でもある。
「モラトリアム」などと呼べば可愛いものだが、実際のところ仕事をしているだけでは
「何者」であるかの問いへの答えにはなりえない。

なりたい自分、自己実現
これを達成できた人だけが、自分が「何者」であるか語れるのではないか?まだ未踏の僕はそんな妄想に耽る。
今回オススメしたい本は、そんな感覚を教えてくれる物語だった。

何者(新潮文庫)

何者(新潮文庫)


何者

新進気鋭の作家、朝井リョウ氏が2012年に発表した作品。
去年にあたる2016年には、佐藤健主演にて映画化もされた。

就職活動真っ最中の自己顕示欲が高いキャラクター達が織りなすドラマ。
同じ就職活動の作品と言えば、「就職前線異状なし」が思い当たる。

就職戦線異状なし

就職戦線異状なし


自己実現や就職などの大雑把なテーマは似ているものの、本書ではツイッターが大きな鍵を握っていて、
朝井氏の年齢が20代なのもあり、この本に興味をもつような読者層はあたかも友達の話を聞いているような親近感を覚えるのではないだろうか。
(決して文章が稚拙だという意味合いではない。)

モラトリアム真っ最中の主人公をはじめ、バンドマンの友人、意識の高い就活仲間、やりたいことと自身に突きつけられた現実のギャップに悩むヒロイン。
もしかしすると多くの人達は、自身の体験と照らし合わせ、とても目を当てられないような気持ちになるかもしれない。
何を隠そう僕がそうだった。特に僕はひどかった。この中に出てくる主要キャラクターを一つにごちゃ混ぜにしたような感じだったので、
各キャラに感情移入してしまい、読後にはしてやられた感を強く感じたのを覚えている。

さいごに

学生の方にオススメできるのはもちろん、
ちょっと前までは学生であった20代、30代が読むと、
きっと、あの時に感じていたモラトリアムを追体験できるのではないか。

何者(新潮文庫)

何者(新潮文庫)